ぼっちの趣味雑記

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ラノベ『七つの魔剣が支配する』感想

前回同様、Kindleセールで『七つの魔剣が支配する』がセールだったので3巻まで買ってみました。たまにはラブコメ以外を。というよりもっとラブコメ以外増えてくれw

以下1巻のかんたんな感想です。

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あらすじ

英国に存在する名門キンバリー魔法学園。主人公「オリバー・ホーン」は新入生としてその門をくぐります。

そこで仲間になる魔法名家出身のシェラ、農家魔法出身のガイ、魔法生物に詳しいカティ、珍しく普通(非魔法)の家柄出身のピート、そして羽織袴を身にまとい日本刀を携える少女ナナオ。

彼らとの学園生活を送りながら学園の「魔」の部分に触れ、様々な事件に巻き込まれていく。そんなお話です。


実は3巻まですでに読破済み。(3巻で一区切りつく)

ですが読み返すと色々発見があって面白いので、今回の記事は「3巻まで読み終えた後、1巻をもう一度読んだ感想」です。感想の範囲は1巻に限定してます。

いつもながら多少のネタバレはご注意ください。

よくレビュー等で言われてますが、たしかにハリポタっぽい世界観です。ハリポタ比だとダーク寄りですが。とはいえ序盤は比較的明るくほのぼのとした雰囲気で進むので、登場人物の類似性を含めまんまハリポタですw

後半はかなりダークな展開/表現が増えていきます。進めば進むほどダークよりに。後半は人体切断描写や内蔵破裂描写がバンバン出てくるので苦手な人は注意したほうがいいかも。

以下感想。


緻密な世界観

よく設定がねられているな、と正直に思いました。著者、かなりの量の設定資料を作ってから執筆を始めていそう。
放たれる魔法についてはもちろん、その生い立ちなど歴史的経緯まで作り込んでそうですね。「授業」でそのへんが細かに語られます。

他にも学園の構造、魔法の名家、政治的ななものなどなど...

こういう「独自の世界を考える」が好きな作家さんなのかもとちょっと思いました。


普通だとこのへんの解説って面倒で厄介だと思うのですが、授業や演習等を交えながら解説してくれるので不自然な感じがしない。

この手の独自設定の物語だと、どうしても1巻は世界設定説明が不自然に入ってきたり面白くなかったりするのですが、それがない。読んでて楽しめます。


ただ魔法、といいつつバトルは剣術成分多めです。杖と同時に杖剣と呼ばれる短刀を持っており、こちらによる戦闘がメイン。剣+補助的に魔法、ときどきガチの攻撃などの魔法、という印象。

主人公は「剣と魔法の絡め技」を得意とし、ヒロインのナナオは「刀一本!」というスタイルなので、こういう描写が増えただけなのかもしれませんが。


こんなこと感じたは自分だけかもしれませんが、魔法でこの辺の設定が細かく、学園モノながら結構第三者がバッタバッタ倒れ、かつ家柄(血統)に関して細かい、ということで「魔法科高校の劣等生」がちょっと脳内をよぎりました。本当に自分だけかもw


飽きさせない展開

この作品の面白いところの一つに、多彩な事件/イベントが発生することでしょうか?

ほのぼのからシリアス、授業シーン、バトルなどなど比較的早いペースでイベントが消化されていきます。
そしてその中で「事件」が進んでいきます。

さらにいうと2,3個の事柄が並行して進んでいるような印象を受けます。最後にそれらが一本につながる、といいますか。

このため400ページクラスの分量のある本なのに読んでて飽きませんでした。非常に匠な展開だと思います。


秀逸なバトル描写

さらにバトルの描写がとてもいい。脳内でありありとその光景が描かれます。   文章量は決して少なくないのですが、なぜかスピード感があるんですよね。また凝った表現も多く厨二感が刺激されるw

前述のとおり魔法学園と言いながらかなりのウェイトを剣戟が占めるのもあるかもしれません。でもその斬り合いをスピーディーに感じさせる手腕はお見事。

バトルシーンの回数も多め。そのへんも含め、アニメ化が映えそうな文章だなーと思いながらずっと読んでました。

剣+魔法なので作画コストがめちゃくちゃ高そうですけど...

いちばん好きなのは序盤ちょっと過ぎたあたりの、主人公とヒロインの模範剣舞です。わずか三合の交錯ですがとてもカッコイイ。
ちなみに表紙のシーンです。この表紙、とてもいいですよね。主人公とヒロインが刃を交える表紙ってすごい。


気になったところ

まずよくいわれることですが、ハリポタすぎる。あまりひねりがなくハリポタしてます。特に序盤。後半までいくとダーク成分が増えてかなり印象が変わるのですが。

次に登場人物多すぎですね...序盤で主要メンバーが6人も出るだけでなく、そのあとも先生たちと先輩たちがガンガン出てきます。
1巻を読み終えた時点ではかなり把握が甘かったようで、3巻のあと読みかえすと「あぁ、ここでもうこの先輩いたんだ...」という感覚に陥りましたw
もうすこしペースを抑えてほしかったですね。

あとは設定の解説と、それの利用シーンが近すぎることでしょうか?

後半に「精霊」が出てきてこの精霊の特性を利用するシーンがあるのですが、主人公がその特性を利用した後に特性についての解説があるんですよね。
このため、どうしても「その場での思いつき設定」という感覚が拭いきれず...この特性を予め授業等で説明してたら、伏線がはってあったらもっと良かったと感じました。もちろん著者は先に設定として考えていたとは思うのですが、そう感じやすい構成なんですよね...


まとめ

転生/ラブコメまみれの現代ラノベにおいて、貴重な正統派ダークファンタジーでとても楽しめました。
著者の文章力/構成力の高さ、設定の細かさ、バトルシーンの面白さなど見どころが多い作品でした。

続きが気になる終わり方をしてるのもポイント(人によってはマイナス要素かもしれませんが)。
最初から長編前提で制作されてると思うので、続きの展開も期待できそうです。

2020年このラノベがすごい!1位は伊達でない、というところでしょうか。やや人は選ぶ気はしますがオススメです。