ぼっちの趣味雑記

オタクになりきれないオタク。軽度なアニメオタク+ラブライブ好き+車ゲー馬鹿。運動にはまりつつあるコミュ障のBlog

『カノジョの妹にキスをした (1~3)』感想

不純愛ラブコメというジャンルをラノベ界に確立したといわれる「カノジョの妹にキスをした」を読了したので、いつもどおり感想でも。

今までは1巻のみの読破&感想でしたが、今回はすでに既刊3巻読破済み です。一気読み。ネタバレは極力控えますが、多少はあるのでご注意ください。

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あらすじ

まぁタイトルどおりです。

  • 彼女がいる主人公が
  • 親の再婚で彼女の双子の妹と同居し
  • その妹とキスをする

これだけです。これだけなんですが...

一気に3巻読破

今までで初の自体が発生しました。サンプル読破後即座に1巻購入、読破後立て続けに2巻購入&読破、そして流れるように3巻も購入&読破 してしまいました。

まさかこれが一日で発生するとは...それぐらい引き込まれました。「面白かった」というのとはちょっと違うかな?もっと「中毒」に似た何か。どんどん精神が蝕まれていくのを感じました...しかし離れることができない。

そして3巻読破後になんともいえない虚無感に襲われて続けており、この感情をどこかにぶつけるべくこの記事を書きなぐってますw

感想

とはいえ...何を語ってもネタバレになってしまうので今回は内容に踏み込む感想は控えます。

1つだけいうなら、タイトルから予想されるどおりの展開ですが3人とも幸せになってほしい。それだけです。

Web小説っぽい文章

まぁ文章自体について語っても大丈夫でしょう。ということで文の感想でも。

文庫本としてはびっくりするぐらい「隙間だらけ」な文章です。とにかく1ページの文字数が少ない。

  • 文が短い
  • 読点のたびに改行(セリフの中ですら!)
  • 空行が多い

というWeb小説を読んでるかのような文章です。ページ次第では「詩」を読んでいるような錯覚を覚えました。


これが問題というとそうでもなく。重要なシーンではあえて短い文章を連続させることで感情の揺れ動きを強調しているように感じました。著者すごい...

とはいえここまで改行が多いと「改行後の字下げ」を削ってもいいのではないかと思うぐらい。逆に改行してない行が目立つんですよねw

問題がない、とはいいませんが心が揺さぶれれたのは間違いない事実です。


完璧に計算された感情の揺れ

この手のラブコメ(に限らず小説全般)を読んでるとご都合主義、といいますか「あぁ、物語の都合でキャラが突飛な発言/行動をしてる」と感じることがかなりあります。著者が「こうキャラが動いてくると楽だな」という方向にキャラが動いてしまってるといいますか。それ見えるとちょっと冷めちゃう。

しかしこの作品、「浮気」なんてセンシティブなテーマを扱ってるのにそれを感じない。正直他のラブコメより数段神経質だと思うんですよ。読者が主人公に悪感情を持っても成立しないし、ヒロインや浮気相手に悪感情をもっても同様。

そういう悪感情を抱かせないような道は極めて狭いのではないか...?例えるなら綱渡りのような。その「綱」から外れないようキャラを動したいシーンが執筆中に何度もあったのではないか...? しかしその綱渡りをこなしながら「ご都合主義」を感じさせない。

著者はんぱない...


それとは対照的に、読者の感情は完璧に著者の計算通り に動かされている気がしますw

いや、ほんと感情の振れ幅がめちゃくちゃ大きいんですよ、この作品。プラスにもマイナスにも。全部著者の手のひらの上なんでしょうね...

著者はんぱない...

次巻が待ち遠しい

読破後にこの3巻がつい先週発売されたばかりと知りました。そして2巻から3巻まで1年かかってるとか...後書きどおりなら次の4巻が最終巻。
なんとかして著者には3人を幸せにいただきたい...本当に...待ちますから著者にはこれまで同等、いえそれ以上のクオリティをお願いしたいです...

さらに不純愛に完全に目覚めてしまいましたよ、えぇ。他の不純愛作品も読んでみたいのですが、ものすごい心に黒いものがたまるんですよね...ちょっと清純系ラブコメで心をきれいにしたいです...

とにかく最近のラブコメブームに飽きてきた人や、ラブコメラノベに興味ない人にもオススメです。ただし合わない人は1巻ですでにダメだと思うので、1巻のサンプルを読んで判断するのがいいと思います。

とにかく感情を揺さぶられる作品なので、「ストレスフリーな甘々イチャイチャ系じゃないと!」という人は控えたほうがいい気がします...


別件ですが著者の「海空りく」先生、聞いたことあると思ったら「落第騎士の英雄譚」の方だったんですね。原作未読ですがアニメは本当にハマりました。アニメのラストバトルは伝説級の出来(スクライド好きなら絶対後悔しないと思います)。

バトルもので小説と相性悪いだろうから控えてたのですが、4巻までにそちらの原作も読んでみようかな。







以降、かなりネタバレ含む感想になります。 未読の方はブラウザバックお願いします。
















きれいな構成

正直驚きました。こんなにきれいな構成があるのかと...著者はあらかじめエンディングまで組み立てた上で書き始めたんだろうなと思います。

1巻を読み終えた後は「厳密にはキスされただけどタイトル回収された!」と思い興奮してました。えぇ、自分が愚かでした...回収は3巻だった...
「あぁ、ここまで見据えてタイトルをつけたのか」と...

このへんが書籍前提のお話と「Web小説」との差だなと感じますね...書籍前提の場合は最低でも1巻、ものによっては数巻を見据えた構成/設定になっている印象。その分じっくり下準備するので物語の立ち上がりに時間かかる傾向ですけど、そこを超えると一気に面白くなる。

やはりちゃんと先を見据えてしっかり書かれた物語は読んでて引き込まれますね。


主人公とともに堕ちてゆく...

博道がどんどん時雨に罪悪感を感じながら堕ちていくように、自分の心も同じように堕ちていくのを感じました...

もうこんなん妹のこと好きになっちゃうやん...彼女裏切ってもしゃーないやん... こう思えてくるんですよ。

文にあるように、時雨の愛情が猛毒となりどんどん自分の中に染み込んでいくのがわかる...とにかく優しいんですよ、この子。博道が晴香に対し愛情を注ぎまくってるように、時雨も博道に愛情を注ぎまくってる。どこまでも、何があっても博道を受け入れる。
だから読み進めれば読みすすめるほど時雨が愛おしくなる。そしてその感情に罪悪感を覚える。これが不純愛か...

とはいえ自分は「晴香」が好きだったり。他の人の感想を見るとだいたいが時雨寄りで晴香に悪感情すら抱いてる人も多いですね...
個人的に一途で頑張り屋で夢を追いかけてて好き...なんですが2巻/3巻と立て続けに晴香が悪者扱いされてつらい。
さらに、もはや博道と結ばれることはないから心が締め付けられる。
鈍感な面が強調されてますが、普通こうですよ...時雨が異常に敏感なだけで...
このまま「彼氏を苦しめた悪者」で終わらせてほしくない、とは思ってます。


美しく、切ない3巻終盤

3巻の終盤、花火大会で博道と時雨が結ばれるシーンはとても感動的。 著者が1巻後書きに書いてた「純愛」とはこういうことかと...

美しく、しかし同時にどうあがいても破滅なので切ない...ラブコメラノベでこんな感情になるとは...

読破後、数時間経過してますが未だにこの「虚無感」が消えません。

強引に消そうとし、ギャグテイストのラブコメを読んだりゲームしたりしても無駄。またあの美しい終盤を見たくて、あの感触を味わいたくて読み返してしまう...
花火大会シーンだけでもう5回ぐらい読み返してます。

さらにその前提で1巻終盤から2巻に戻ると、時雨の言葉一つ一つが重いのなんの...あぁ、この子は最初からこんなに純粋だったのか...


しかし3巻終わりはある程度予想できたものの修羅場確定な展開。
とにかく、今は4巻を待つしかありません。どうなるか本当にわからないけど、3人とも幸せになってほしい...今はただそれを願うのみです。