表題のとおり、「経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。」のレビューを。
前回の不純愛ラブコメ の喪失感が未だに抜けきってないので、気になってる中で普通に心癒されそうな作品を読みました。
多少ネタバレ込なのでご注意ください（タイトルから予想しやすい展開なのもあり、ちょいネタバレ多めです）。
あらすじ
ぱっとしない主人公が罰ゲームで学園のアイドル的存在の女子に告白、まさか受け入れられてお付き合いスタート。そこから仲を深めていくテンプレといえばテンプレなお話。
が、この手のタイトルのものって「実は経験済みじゃありませんでした」というのがオチだったりしますが、そんな思いをごく序盤で打ち砕いてくれるいい作品ですｗ
ヒロインが経験済み、とはいえちょっと歪んだ恋愛しか経験してないのがポイント。そこがヘタレな主人公くんが癒やしてどんどん二人の距離が縮まっていきます。
細かいですがタイトルがいいですよね。長いタイトルはあまり好きでないんですが、「経験済み」「経験ゼロ」「キミ」「オレ」という対照的な言葉が韻を踏んで並んでて長く感じない。しつこくない。それでいて内容をしっかり表している。秀逸だと思います
付き合っちゃえよ
読み終えて気づいたのですが、「甘々(半)同棲ラブコメ」によくある 「お前らもう付き合っちゃえよ」 を最初に起こしてるんですね、これ。これのおかげで二人が仲を深めていく流れがナチュラルに感じました。
流行り系列だとどうしても「ヒロインが主人公に行為を寄せていく過程」が不自然に感じるんですよ、自分。「なんでそんなダメ男を...」というのを払拭できない。最初からパーフェクトイケメンならともかく（チラムネはこの系列らしいので興味ある）。そこに強引な流れで、ご都合主義的流れでデートイベントでも挟まった日にはもうね、読みすすめるのがつらくなるｗ
ところがこの作品はお家訪問してもデートしても不自然じゃない。
だって付き合ってるんだもん
この一言で正当化できてしまう...
「好き」がピークに到達して「付き合う」のではなく、好きというわけでないのに付き合いはじめる。そしてだんだん好きになる。構造としては偽装彼氏系が近いでしょうか？ただ本当のお付き合いであることが面白い。
偽装系だとどうしても「お互いを積極的に理解しようとする動機」が乏しいと思うんですよね。それに対し、本当に付き合っちゃってるというのは強い。
ヒロインの序盤のセリフ、
薄っぺらくても、いい感じじゃんと思って、もっと知りたいと思ったんでしょ？だったら付き合ってみればいーじゃん
これは非常に印象的でした。
とはいえ...
とはいえよくある設定といえばよくある設定...といいますか昔見た「はじめてのギャル」とスタートは一緒に見えました（アニメを６話ぐらいまで見た程度ですが）。
- ギャルがヒロイン
- 主人公が罰ゲームで告白
- 不良系ヒロイン親友
- 黒髪ロングの清楚可憐お邪魔キャラ
などなど...この辺のエッセンスだけ抽出するとそっくり。
ただし「経験済み」であることが物語の面白くしてますので立ち上がり移行の流れは結構別、だとは思います（もはや記憶があいまいで申し訳ない...）。
読みやすい文
文章は素直で読みやすかったです。セリフ多めの改行多め、ようは空白多めでページ数の割に早く読み終えることができました。文表現も軽くリズミカルで、ロシデレに近い文といえるかも。（いもキスは空白多いけど、進めば進むほど技巧が駆使される印象...）
唯一、主人公が熱くかたるシーンを除いて...あれは飛ばしましたw 3ページみっちりは多すぎやでぇ...（主人公のオタクっぽさを出すのが目的なので、読み飛ばしても全然ストーリーに影響がないように見えた...）
主人公かわいい
主人公がめっちゃいいやつ。優しいくてそこそこ（かなり？）勉強できるいいやつ。冴えないやつっちゃ冴えないやつですが、とにかくヒロインのために頑張るのがかっこいい。言葉遣いも丁寧なのがいいですね。
そして話が進むたびに、ヒロインのことがどんどん好きになるのがたまらん。そのへんのモノローグがかわいすぎてもうねｗ 男キャラにこういう感覚を抱くとは...
ヒロインめっちゃかわいい
そしてヒロインもヒロインですよ。主人公のことがだんだん好きになっていく過程がたまらん。
経験済みではあるものの彼氏に大事にされたことがない、という設定が活きてますね。初めて大事にされる感覚にとまどいすら覚えながら主人公に惹かれていく様子がとてもいい。
それをダイレクトにセリフでいっちゃうからまたこの子は...こんなの主人公でなくても意識とぶわ...
妹が最高...
そして、ヒロインの妹が最高。
ほんまいいキャラなんですが...裏表のないヒロインと違って、わかりやすく裏を魅せてくれてもう最高ｗ
さらにこの作品、主人公視点で進むのですが章と章の間に「日記」という形で数ページ別キャラ視点の物語が挟まります。
そしてこれ、ヒロインが３回で妹が２回。 物語中盤の登場であることを考えると驚異的...
著者も書いてて楽しかったと言ってるし、本当に優遇されているとしか...
学校での猫かぶり清楚ヒロイン(かわいい挿絵付き)、わかりやすい小悪魔行為、日記でのもはやギャグ入ってる黒い部分の独白、そして主人公の前で子供のように泣く姿（本当にかわいい挿絵つき！）。
もう愛されキャラ要素満載なんですが、このキャラ...
主人公との因縁もあるので今後大活躍でしょうね...主人公に惹かれる要素以外に書くのが難しそうなヒロインと違い、なにかと動かしやすいキャラな気がしますし。
しかし2連続で双子モノを読むとは...（こちらは双子をウリにしてるわけではないけど）
しかも天真爛漫で裏表のない姉、対照的にずるくて裏ありまくりな妹。
...これは不純愛を期待したくなる... とはいえ、この作品でそこに踏み込んだら暴動が起こると思いますｗ
まとめ
素直に楽しめました。この手のラブコメはあわないかなーと若干懸念してたのですが楽しめました。文章が読みやすく流れが自然なのに加え、中盤のお邪魔キャラの存在で飽きずに読めました。
心のなかに蓄積した黒いものがかなり浄化された気がしますｗ
レビューなどを見る限り、次巻は一つの山場があるようなので期待。
とはいえ「いもキス」のせいで、この３連休に４冊も買ってしまいました。なんぼなんでもお金を使いすぎたのでしばらく控えめにします...
