久しぶりにラノベレビュー、『世界の終わりに君に出会った』のレビューです。
この書籍、本来のタイトルは "I Met You After the End of the World" 。はい、つまり英語ですw 日本語のタイトルが表紙に添えられているのでこう書きました。
はい、つまり英語を英語のまま読みました。なので読み終えるまで2週間以上かかってますw
邦題は本当に日本語タイトルというだけで訳本があるわけではないです。以下のレビューではその点ご注意ください。
あらすじ
破滅的な殺人ウィルスの蔓延で東京で一人になってしまった主人公ヤマダ ダイスケ(漢字不明)。
本当に一人です。他に誰もいない。東京(というより世界が)破滅で全員死亡。
そんな中、食料を求めコンビニにいったところ一人の女子高生に遭遇します。
彼女の名前はフジワラ サヤカ。新潟から来たらしいです。
すっかり疲労困憊だった彼女を家まで連れていき、二人の共同生活がはじまります。
以下軽いネタバレ注意
最近多い社会人x女子高生の同居イチャイチャモノ、と思いきやそれは序盤だけ。状況が二転三転します。
そのあたりは予想できず(テンプレ恋愛ものだと思ってた)、いい意味で裏切られました。
が、よくこのご時世にウィルス系のお話を書けたな、とは正直思います。(後書き読むに、このご時世だから書いたようですが)
購入動機
ぶっちゃけ表紙買いですw いや、表紙イラスト素晴らしくないですか?
等身高めでスラッとしてて淡い色使いのイラストでめちゃくちゃ好みです。
あとはサンプル読んで、この英語なら行けると判断し読みました。
英語の難易度
めちゃくちゃ簡単な方です。高校一年レベルの英語が固まってる方なら何ら問題なく読めると思います。
TOEICでいうなら600点でしょうか?いわゆる「語彙制限本」に相当するレベル。
その手の勉強をされた方に向けていうなら、YL5未満です。あきらかに HOLES
より楽。単語/文法としては The Ring (YL3)
レベル。ただしTheRingより格段に長いのでそれよりはYLが高いです。
気になったのはネイティブじゃない人が書いたのか?と疑うぐらい(※本当に作者が英語ネイティブかは知りません)。正直 不自然なぐらい文法に忠実すぎる。
日本語もですが、特に会話だと文法って崩れるじゃないですか。そういうのがほとんどない。あと非ネイティブでは意味の分かりづらい慣用表現なども少ない。なので読みやすいですが、行儀良すぎて逆に不自然ですw
英語で日本的ラノベの問題
が、思ったより英語で萌え系ラノベはつらかったです。
前述の文法に忠実なのも相まって、英語の文が直接的すぎる。日本語と比べて省略(特に主語)がない上、当然脳内では「直訳」に近いかたちで再生されるので常時違和感がありました。
これは作品の問題でなく、自分の英語力の問題です。
例えば次のようなテンプレ展開(※作品にない創作英文です)
そのとき、かすかにスカートの中が見えた。 「見たでしょ!?」
これが英語だと
At that time, I saw the inside of her skirt slightly. "You saw it, didn't you?"
脳内では次のようになるわけで
そのとき、私は彼女のスカートの内側がかすかに見た。 「あなたはそれを見た。そうよね!?」
ぐらいに脳内再生されちゃうわけです...常に主語や所有格が必要なので、「しつこく」「ダイレクトに」脳内再生されてあまり萌えれない...
日本語だとほのめかすような表現の文が、全部ダイレクトな文になっちゃって萌えれない...とくにちょっとえっち系なシーンとかね...直接的すぎてw
ここは言語感覚の差なのでいかんともしがたいです。
こういう脳内直訳が作品中ずっと続くので、意味は理解できるし対応する萌えフレーズもわかりはするが、萌えを感じない となるのです...
しつこいですがこれは自分の英語力の問題です。が、大半の日本人はこのレベルだろうとも思います...
読む上でこのへんはすこし注意してください。実用書はこの辺がないので逆にストレートに(日本語で読んでるのと似たようなやり方で)楽しめたりします。
以下ガッツリネタバレ含みます。
話の構成
お話は4部構成。それぞれ春夏秋冬です。
春 は出会い+共同生活の萌えパート。周囲が悲惨な状況ではありますが、電気もありガスも動いて毎日悠々自適に過ごします。 まぁテンプレですわw
夏 は一転しシリアス。電力が途切れたのでサヤカの地元にあるという「発電機」を取りに新潟までパクった車で向かいます。 しかしそこにはサヤカの元カレが...かなーり暗い展開です。
秋 は落ち着いた雰囲気。二人は奈良に向かい、そこにある旅館でおばあさんに出会います。
おばあさんの丁寧なもてなしを受け、最後に生き延びた人間同士、色々語り合う話です。
冬 は再びシリアス路線。暖かさを求めさらに九州まで南下する二人。 そこにやたらキレイな寺院が。あきらかに人によりメンテされています。 そこにいた住職にお世話になるのですが...??
単なる萌え一辺倒でなく、季節ごとに展開がガラリと変わるのが良かったです。読んでて飽きづらいですね。
が、終わりが実に中途半端。「俺達の戦いはこれからだ!」の一歩手前で終わった印象。これからだ!ですらない...
大げさに例えるなら「お寺の人怖かったね」で終わっちゃった感じ。
この破滅した世界で生きる以上、どうあがいても最後は「死」しかないはず。
目次から冬が終わりというのは分かってたので「切ない」終わりを期待してたのですが、坊さんから逃げてお互いに過去を語り合って唐突にEND。
続刊出るんですかね?個人出版っぽいしどうなることやら...
および結局明かされなかった(と思う)のが、 ヒロインが常時制服の謎。
いや、デパートとかユニクロを襲撃して着替え入手したよね...?
なぜずっと制服...そんな何着も持ってるものでなし...
それ意外にも細かい設定に突っ込むと割とキリがないコンテンツですw
ウィルスが強すぎて不自然だったり(渋滞中に感染して車内で死亡とか)、主人公たちが「なぜ生き延びれた」のかなど(免疫あった、とは書いてあったけど100万人に一人の生存者で不思議すぎる...)。
が、性欲やレイプシーン等は普通の日本語のラノベと比べてやや過激気味。ここは英語表現というのもありよりダイレクトに感じます。ここは注意してください
まとめ
イラストが気に入っただけでテンプレコンテンツと思い買ったのですが、予想外に裏切られて面白かったです。 行儀良すぎる英文に違和感はあるものの、かわりに非ネイティブには読みやすく楽しめました。
先程も述べたようにこの手の書籍としては例外的なレベルで易しいです。興味あるようならぜひサンプルに手を出してみてください。